土地活用 アパート経営ガイド -アパート経営編-

1.土地活用 アパート経営の基礎知識

アパート経営の「収入」と「支出」

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アパート経営を初めとした多くの土地活用では、「収支」の概念があります。収支とは「収入」から「支出」を差し引いたもので、アパート経営の収益性が決まる要素です。

アパート経営における収入

アパート経営における「収入」には、「家賃」、「共益費」、「駐車場料金」、「礼金」などがあります。「敷金(保証金)(※)」は、入居者様からの「預り金」であり、収入には含まれません。

主な収入項目

■家賃

アパート(賃貸住宅)を貸すことの対価として、入居者様から頂く金銭です。アパート経営により得られる収入の大部分を占めます。

■共益費

アパートの共用部分(廊下や階段、エントランスなど)の光熱費や清掃・維持管理の費用に充てられます。毎月、家賃と一緒に入居者様から受領します。

■駐車場料金

駐車場を貸すことの対価として、入居者様から頂く料金です。家賃に含まれるケースもあります。

■礼金(権利金)

入居者様から「謝礼」的な意味で受け取る金銭で、地域の慣習により徴収するところがあります。敷金(保証金)とは異なり、入居者様に返還する必要はありません。

※敷金(保証金)

家賃や修繕費の担保として、オーナー様が入居者様から預かる一時金であり、収入には含まれません。入居者様が建物を明け渡したときに、返還しなければなりませんが、家賃の滞納や、入居者様の過失による室内修繕費を、敷金(保証金)から差し引くことができます。

なお、地域によっては、「敷引き」という慣習もあります。「敷引き」は、敷金(保証金)の一部をあらかじめ返還しないと約束したもので、「礼金(権利金)」としてみなされ、収入として計上しなければなりません。

アパート経営における収入
アパート経営における収入

アパート経営における支出

アパート経営における主な「支出項目」には、以下のものがあります。

主な支出項目

■借入返済金

アパートを建設するために、金融機関から融資を受けた場合には、毎月、借入金を返済していかなければなりません。借入返済金は、元金部分と利息部分から構成され、アパート経営の支出のうち、最も大きな割合を占めます。また、金融機関から融資を受ける際には、「信用保証料(※)」と「事務手数料」が必要になります。

■管理委託料

管理会社にアパートの管理を委託する場合に支払います。管理会社が行なう、入居者様との賃貸借契約の更新、クレーム対応、家賃滞納の督促などの「入居者管理業務」や、建物定期点検などの「建物管理業務」に対する対価となります。

また、管理会社の中には、サブリース契約で建物を借り上げるところも多く、万一の空室や家賃滞納でも安心です。

■共用部分の水道光熱費・定期清掃費

アパートの共用部分である玄関や廊下、階段などの照明代や、エレベーターにかかる電気代、共用部分の清掃費用などがあります。

■建物の修繕費

建物や附属設備のメンテナンスのために必要な費用です。各住戸の水道パッキンの交換や、フローリング床の補修といった小規模なものから、建物の外壁の塗り替えや、屋根の葺き替えなどの大がかりな修繕まで様々です。入居者様にとって、魅力的なアパートを維持し続けるために、修繕は計画的に行ないましょう。

■広告費

Webサイト等で行なう入居者様募集のための広告費用。入居付けがされた際に、不動産会社へ支払います。

■税金

土地・建物の所有者に毎年課税される固定資産税・都市計画税の他に、所得税や住民税、事業税があります。所得税、住民税、及び事業税は、アパート経営によって、不動産所得が発生した場合に、所得に応じて課税されます。(詳細は後述の「アパート経営と税金の流れ」を参照)

※信用保証料

金融機関から融資を受けるには、担保や連帯保証人を付けることになりますが、アパートローンの場合は、連帯保証人の代わりに信用保証会社などによる「信用保証制度」を利用するケースもあります。信用保証会社は、連帯保証人の役割を果たすもので、その対価として、「信用保証料」を徴収します。

アパート経営における支出
アパート経営における支出

アパート経営では、「収支計画」が重要

アパート経営を始める前に、「収支」を計算してどれだけの収益が得られるかをチェックすることが大変重要となります。「収支」は、アパート経営の収入から支出を差し引いたものになります。

収入が支出よりも多い場合は、収益が得られます。反対に、収入が支出よりも少ない場合は赤字となり、採算が取れなくなってしまいますので、収入と支出を見直す必要があります。

収支計算の方法

収支計算の方法

アパート経営に必要な税金

アパート経営に関する税金は、下図のようなタイミングで課税されます。

まず、建物の工事請負契約やローン借入契約などを締結する際に、「収入印紙」が必要になり、ここで印紙税(=印紙代)が課税されます。

次に、建物が完成すると“所有権保存登記”、及びローン借入に対する“抵当権設定登記”を行なわなければなりません。ここで「登録免許税」が課税されます。

そして、アパート経営を開始すると、「不動産取得税(初年度のみ)」、「固定資産税(毎年)」、「都市計画税(毎年)」などが課税されます。

また、アパート経営を始めた翌年からは、確定申告が必要となります。確定申告では、「所得税」、「住民税」、「事業税(事業規模で経営している場合)」を納付します。

アパート経営に必要な税金

アパート経営に必要な税金

アパート経営に必要な税金の種類

アパート経営に必要な税金は、課税される時期によって、大きく2つに分けられ、①アパート経営を始めた初年度に課税されるもの、そして、②毎年課税されるものがあります。それぞれの税金の概要は、以下の通りです。

税 目 内 容 税 額
①初年度に
かかる税金
印紙税 建物の工事請負契約や、建築資金を金融機関から借り入れるための、金銭消費貸借契約を締結するときに必要となる。契約書に収入印紙を貼付して納付する。 請負金額によって異なる。
登録免許税 登記を申請するときに必要になる税金。建物が完成したときには、所有権保存登記を、建築資金を借り入れたときには、抵当権設定登記を申請する。 保存登記のときは、建物評価額の0.4%
抵当権設定登記のときは債権額の0.4%
不動産取得税 アパートなどの不動産(建物)を取得したときに課税される。ただし、新築の場合には、一戸(床面積が40m2~240m2)当たり、1,200万円まで控除される減税措置が設けられているので、アパートでは、ほとんど課税されない。 土地・建物(住宅部分)共に、固定資産税評価額の3%
(2024年3月31日まで)
②毎年
かかる税金
固定資産税 毎年、1月1日付けで、不動産などを所有している場合に、土地と建物に課税される。アパートを建築した場合、一定の条件を満たせば、土地の評価額が6分の1に、建物の税額が2分の1に軽減される。 固定資産税評価額の1.4%
都市計画税 毎年、1月1日付けで、不動産などを所有している場合に土地と建物に課税される。固定資産税と同様に、アパートを建築した場合、一定の条件を満たせば、土地の評価額が3分の1に軽減される。

固定資産税評価額の0.3%

※市区町村によって、税率が異なる場合がある。

所得税・
住民税
アパート経営によって所得があるときに課税される。 減価償却費については、建物附属設備、構築物は定額法のみ適用。
器具、及び備品は定額法・定率法のどちらかを選択して適用。
  • ・定額法=建築費×償却率
  • ・定率法=前年末償却残高×償却率
事業税

アパート経営など個人が営む事業で、一定の不動産所得があったときに課税される。

10棟、または10室以上の賃貸建物が事業規模として課税対象となる。

※地域によって異なる場合があります。

不動産所得から290万円を控除。
控除額を超えた部分の5%(第一種事業)

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験と培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド アパート経営編」の「土地活用 アパート経営の基礎知識」から、「アパート経営の『収入』と『支出』」について紹介。アパート経営における収入と支出をまとめました。また、アパート経営において重要な「収支計画」。その参考となる税金についても解説しています。