土地活用 アパート経営ガイド -アパート経営編-

1.土地活用 アパート経営の基礎知識

アパート経営に必要な保険

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アパート経営では、火災保険や地震保険への加入が必須と言えます。土地活用の中には、建物の建築を伴わない方法もありますが、高額な賃貸住宅を経営する場合、災害への供えとして損害保険に加入することは非常に重要です。

「火災保険」をかける際のポイント

アパート経営をする上で、必ず入っておきたいのが「火災保険」です。火災保険は、かけ方によって補償内容が大きく異なりますので、その仕組みをよく理解した上で、保険商品を選びましょう。

火災保険とは

火災保険とは

「火災保険」とは、火災やその他の災害などによって、建物や備品などに損害が生じた場合に、その損害を補償することを目的とした保険です。補償の範囲や内容は、対象となる物件の種類や各保険会社によって異なります。

なお、アパートの建築資金を金融機関からの融資で調達する場合は、火災保険の加入が必須条件となります。

※地震により、建物に損害が生じた場合には、保険の対象外となります。補償を受けるためには、
別途「地震保険」に加入する必要があります。(後述)

保険金額を決める際のポイント

火災保険の保険金額(契約金額)は、再調達価額(新価額)をもとに決定するのがポイントです。

再調達価額(新価額)とは、同等のものを新たに建築、または購入するのに必要な金額のことです。

仮に時価をもとに時価限度額で火災保険を契約したとすれば、実際には年月の経過によって建物の価値は再調達価額よりも下がるので、同じ建物を新たに建築することはできません。それに対して、再調達価額をもとに支払われる火災保険を契約すれば、火災保険の保険金のみで建て直すことができます。

契約の際に、再調達価額(新価額)いっぱいに契約金額を設定しておけば、万一の場合に、その額を基準に契約金額を限度として損害額が支払われることになるため、安心でしょう。

「再調達価額契約」と「時価契約」の違いの例

「再調達価額契約」と「時価契約」の違いの例

「家賃補償特約」を利用する

万が一、火災が発生してしまった場合、火災保険に加入していれば建物に対しては一定の補償が受けられますが、建替えまでの間の家賃収入は補償されません。

そのため、火災発生時における家賃の損失に備えて、火災保険の特約のひとつである「家賃補償特約」という商品があります。

家賃補償特約の内容と支払金額

家賃補償特約の
内容
契約時に定めた家賃補償期間(約定復旧期間)の範囲で、火災保険によって建物を元通りに再築するまでの間に発生する、家賃の減収額が支払われる。
支払金額 建物の家賃月額に、家賃補償期間を乗じた金額が支払金額となる。ただし、水道・ガス・電気などの使用料や権利金・礼金・保証金(敷金)などの一時金などは、家賃に含まれない。

「地震保険」は必要不可欠な時代に

日本は、世界でも有数の「地震大国」です。近年では、大地震による被害が発生しており、地震に対する備えは必要不可欠なものとなっています。そのうちのひとつが、居住用建物の地震被害を対象とした「地震保険」です。新規契約時に火災保険とセットで加入するものが一般的ですが、現在、火災保険に加入中の方は、途中から「地震保険」を加える形で加入することもできます。

地震保険の補償範囲

地震保険の対象となるのは「居住用建物」と「家財」の2種類で、補償額の限度は、居住用建物が5,000万円、家財が1,000万円となります。

なお、補償される損害の範囲(支払われる保険金額)は、一般的に次のようになります。

地震保険の支払金額の計算方法

害区分 被害の程度 支払われる
保険金額
全損 建物 主要構造部の損害額が、建物の時価の50%以上、または焼失、流出した床面積が建物の延床面積の70%以上 地震保険の
契約金額の100%
(時価が限度)
家財 損害額が家財の時価の80%以上
大半損 建物 主要構造部の損害額が、建物の時価の40%以上50%未満、または焼失、流出した床面積が、建物の延床面積の50%以上70%未満 地震保険の
契約金額の60%
(時価の60%が限度)
家財 損害額が家財の時価の60%以上80%未満
小半損 建物 主要構造部の損害額が、建物の時価の20%以上40%未満、または焼失、流出した床面積が、建物の延床面積の20%以上50%未満 地震保険の
契約金額の30%
(時価の30%が限度)
家財 損害額が家財の時価の30%以上60%未満
一部損 建物 主要構造部の損害額が、建物の時価の3%以上20%未満、または建物の床上浸水または地盤面から45cmを超える浸水を受け損害が生じた場合で、その損害額が全損・大半損・小半損に至らない場合 地震保険の
契約金額の5%
(時価の5%が限度)
家財 損害額が家財の時価の10%以上30%未満

地震保険の割引制度

地震保険については、建築年割引や国土交通省の定める耐震等級を有している建物や免震建築物の基準に適合する建物についての割引制度があり、以下に該当する場合に適用されます。

※条件を複数満たす場合であっても、割引はいずれかひとつのみの適用となります。

(1)建築年割引

適用条件 1981年6月1日以降に新築された建物であること
地震保険料の
割引率
10%
確認資料 次のいずれかの資料
  • ・公的機関等(国、地方公共団体、地方住宅供給公社、指定確認検査機関等)により作成、または公表されている書類・データ類(建物登記簿謄本、建物登記済権利証、建築確認書、検査済証等)
  • ・公的機関等に対して届け出た書類(建築確認申請書など公的機関等の受領印、もしくは処理印が確認できるものに限る。)
  • ・宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引業者が交付した重要事項説明書

(2)耐震等級割引

適用条件 次のいずれかの耐震等級を有する建物であること
  • ・住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下、「品確法」と言う。)に規定する評価方法基準に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)
  • ・国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」(以下、「評価指針」と言う。)に基づく耐震等級
地震保険料の
割引率

【地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合】

耐震等級3:50

耐震等級2:30

耐震等級1:10

【地震保険の始期日が2014年6月30日以前の場合】

耐震等級3:30

耐震等級2:20

耐震等級1:10

確認資料 次のいずれかの資料
  • ・品確法に基づく「建設住宅性能評価書」、または「設計住宅性能評価書」(※1)
  • ・評価指針に基づく「耐震性能評価書」
  • ・独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書、または「現金取得者向け新築対象住宅証明書」(※2)
  • ・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるために必要な「住宅性能証明書」(※2)
  • ・「認定通知書」など長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定書類(※3)、及び「設計内容説明書」など“耐震等級3”が確認できる書類(長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定書類のみの場合、新築は耐震等級2、増築・改築は耐震等級1とする。)
  • ・長期優良住宅の認定申請の際に使用する品確法に基づく登録住宅性能評価機関が作成した「技術的審査適合証」(※4)

※1 地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合、品確法に基づく登録住宅性能評価機関が、マンション等の区分所有建物の共用部分全体を評価した場合に作成する「共用部分検査・評価シート」等の名称の証明書類を含みます。

※2 地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合の確認資料となります。

※3 地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合、認定長期優良住宅であることが確認できる「住宅用家屋証明書」、及び「認定長期優良住宅建築証明書」を含みます。

※4 地震保険の始期が2014年6月30日以前の場合、「技術的審査適合証」に合わせて、長期優良住宅の認定を受けていることが確認できる書類が必要です。

(3)免震等級割引

適用条件 品確法に基づく免震建築物に該当する建物であること
地震保険料の
割引率

【地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合】

50

【地震保険の始期日が2014年6月30日以前の場合】

30

確認資料 次のいずれかの資料
  • ・品確法に基づく「建設住宅性能評価書」、または「設計住宅性能評価書」(※1)
  • ・独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す適合証明書、または「現金取得者向け新築対象住宅証明書」(※2)
  • ・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるために必要な「住宅性能証明書」(※2)
  • ・「認定通知書」など長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定書類(※3)、及び「設計内容説明書」など“免震建築物であること”が確認できる書類
  • ・長期優良住宅の認定申請の際に使用する品確法に基づく登録住宅性能評価機関が作成した「技術的審査適合証」(※4)

※1 地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合、品確法に基づく登録住宅性能評価機関が、マンション等の区分所有建物の共用部分全体を評価した場合に作成する「共用部分検査・評価シート」等の名称の証明書類を含みます。

※2 地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合、確認資料となります。

※3 地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合、認定長期優良住宅であることが確認できる「住宅用家屋証明書」、及び「認定長期優良住宅建築証明書」を含みます。

※4 地震保険の始期が2014年6月30日以前の場合、「技術的審査適合証」に合わせて、長期優良住宅の認定を受けていることが確認できる書類が必要です。

(4)耐震診断割引

適用条件 地方公共団体等による耐震診断、または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす建物であること
地震保険料の
割引率
10
確認資料 次のいずれかの資料
  • ・耐震診断、または耐震改修の結果により減税措置の適用を受けるための①~③のいずれかの証明書
  • ① 耐震基準適合証明書

    ② 住宅耐震改修証明書

    ③ 地方税法施行規則附則に基づく証明書

  • ・耐震診断の結果により、国土交通省の定める基準(平成18年国土交通省告示第185号)に適合することを地方公共団体、建築士などが証明した書類

予期せぬ事故・事件に備える保険

予期せぬ事故・事件に備える保険

アパート経営は長期間に亘るため、その間には予期せぬ事故や事件などが発生して、経営に支障が出る可能性もあります。これらのリスクに対しても、保険で備えることができます。

その代表的なものが、アパートの壁が剥落(はくらく)してケガを負わせるなど、建物管理上の不備によって、入居者様や近隣住人に対して賠償責任が発生した際の損害を補償する「施設賠償責任保険」です。

取扱う保険の種類によっては、火災保険の特約として契約することができたり、入居者様によって建物内部が破損された場合、及び空調・給湯設備が故障した場合、自殺や他殺などが原因で、空室になった場合の家賃などに補償が受けられるものもあります。

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験と培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド アパート経営編」の「土地活用 アパート経営の基礎知識」から「アパート経営に必要な保険」について紹介。災害リスクの備えとして「火災保険」や「地震保険」といった損害保険が存在します。万が一のために加入しておくべき保険をご確認下さい。