土地活用 アパート経営ガイド -アパート経営編-

5.商品競争力を維持するために

アパート経営で商品競争力を
維持する人気の設備

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土地活用もビジネスであるため、顧客ニーズを捉えることは重要です。
そして、アパート経営における顧客、つまり入居者様のニーズを捉えるには、人気の設備を導入することが有効です。
これからアパート経営を始める人は、入居者ニーズに合致した人気の設備を把握し、取り入れていくことが望ましいと言えます。人気の設備の中には新築時でないと設置できないものもあるため、特に新築時の設備の検討は重要となります。
ここでは「アパート経営で商品競争力を維持する人気の設備」について解説します。

人気の設備を付加するメリット

人気の設備を付加するメリットについて解説します。

空室対策になる

人気の設備を付加する最大のメリットは空室対策になるということです。
空室が減れば募集家賃を下げる必要がないため、家賃が下落するリスクも防ぐことができます。
また、高い入居率を維持することができれば収入が安定するため、借入金返済リスクも防止できる点がメリットです。

賃料アップに繋がる

人気設備の中には、周辺相場より家賃が高くても入居が決まる要因となる設備も存在し、このような設備を設置すれば、賃料アップに繋げることができます。

人気の設備を付加するデメリット

人気の設備を付加するデメリットについて解説します。

建築費が増える

人気の設備を付加するデメリットとしては、建築費が増えるという点が挙げられます。
設備を充実させることは、コストアップ要因に繋がるため、費用対効果を考えて設備を選択する必要があります。

貸主側の修繕負担が増える

設備を付加すると貸主側の修繕負担が増える点もデメリットです。
例えば、貸主側でエアコンを設置すれば、エアコンは貸主の資産となるため、寿命で壊れたら貸主が修繕することになります。
設備は躯体に比べて壊れやすいことから、設備を多く付加することは修繕費の負担増加に繋がります。

人気の設備ランキング

最初に人気の設備ランキングを紹介します。

人気の設備ランキング(単身者向け間取り)2023

単身者向け間取りの人気の設備ランキングは下表の通りです。

人気の設備ランキング(単身者向け間取り)2023

順位 必須設備(※1)ランキング 付加価値設備(※2)ランキング
1位 エアコン インターネット無料
2位 TVモニター付きインターホン エントランスのオートロック
3位 室内洗濯機置き場 高速インターネット(1Gbps以上)
4位 インターネット無料 宅配ボックス
5位 温水洗浄便座 浴室換気乾燥機
6位 独立洗面台 独立洗面台
7位 宅配ボックス システムキッチン
8位 エントランスのオートロック 防犯カメラ
9位 備え付け照明 24時間利用可能ごみ置き場
10位 高速インターネット(1Gbps以上) ウォークインクローゼット

※1この設備がなければ入居が決まらない必須設備とされる設備

※2この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まるという、物件に付加価値を付ける設備

出典:全国賃貸住宅新聞「2023年人気設備ランキング」

共用部の構造を検討する

単身者向け間取りの人気の設備ランキングでは「エアコン」と「TVモニター付きインターホン」「室内洗濯機置き場」が必須設備のトップ3にランクインしており、まさに外すことができない設備と言えます。
また、単身者向けにランクインしている設備には「備え付け照明」や「インターネット無料」があることから、単身者は入居後すぐに使える設備環境を求めていることが伺えます。

なお「高速インターネット」にも高い需要があることから、生活の中に大容量データ通信が必要な動画配信やネットゲームなどが浸透していると考えられます。
一方「防犯カメラ」や「エントランスのオートロック」によるセキュリティ性能へのニーズも重要なポイントと言えます。
その他、単身者向けだけに「独立洗面台」が人気の高い設備としてランクインしている点が特徴と言えます。

人気の設備ランキング(ファミリー向け間取り)2023

ファミリー向け間取りの人気の設備ランキングは下表の通りです。

人気の設備ランキング(ファミリー向け間取り)2023

順位 必須設備(※1)ランキング 付加価値設備(※2)ランキング
1位 エアコン インターネット無料
2位 室内洗濯機置き場 エントランスのオートロック
3位 TVモニター付きインターホン 追い焚き機能
4位 独立洗面台 システムキッチン
5位 追い焚き機能 宅配ボックス
6位 温水洗浄便座 高速インターネット(1Gbps以上)
7位 インターネット無料 浴室換気乾燥機
8位 システムキッチン 24時間利用可能ごみ置き場
9位 エントランスのオートロック ウォークインクローゼット
10位 ガスコンロ(2口/3口) ガレージ

※1この設備がなければ入居が決まらない必須設備とされる設備

※2この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まるという、物件に付加価値を付ける設備

出典:全国賃貸住宅新聞「2023年人気設備ランキング」

ファミリー向け間取りの人気の設備ランキングでも「エアコン」と「室内洗濯機置き場」「TVモニター付きインターホン」は、この設備がなければ入居が決まらない必須設備のトップ3にランクインしており、単身用向けと同様、外すことができない設備と言えます。
また、ファミリー向けだけにランクインしている設備は「追い焚き機能」と「ガレージ」となりました。

なお、付加価値設備では、「インターネット無料」が単身者向けとファミリー向け共に1位となっており、情報化社会の現代においては付加価値の高い設備と言わざるを得ないようです。

賃貸住宅を企画する上での3つの注意点

賃貸住宅を企画する上での3つの注意点について解説します。

ターゲットを明確にする

賃貸住宅を企画する上では、まず入居者ターゲットを明確にすることが重要です。
入居者ターゲットは、大きく分けて単身者世帯とファミリー世帯の2つがありますが、人気の設備には、単身者世帯とファミリー世帯で共通して人気の設備と、それぞれの世帯にしか人気のない設備があります。

例えば、お風呂の追い焚き機能は、ファミリー世帯に人気の設備で、必須設備の中では3位、付加価値設備の中でも3位にランクインしています。
一方、単身者世帯のランキングでは、追い焚き機能は必須設備にも付加価値設備の中にも入っていません。
その他として、ガスコンロ(2口/3口)もファミリー世帯の必須設備ランキングには入っていますが、単身者世帯のランキングには入っていない設備です。

このように人気の設備は入居者ターゲットによって若干異なり、入居者ターゲットに求められていないものを付けても効果は期待できません。
そのため、まずは入居者ターゲットを明確にした上で、そのターゲットに人気のある設備を付けることが適切です。

共用部の構造を検討する

共用部の構造を検討する

人気設備の導入を検討するにあたっては、共用部の構造を併せて検討することが重要となります。
例えば、エントランスのオートロックや宅配ボックスは、必須設備と付加価値設備のいずれにも上位にランクインしており、価値ある設備と言えます。

しかしながら、2~3階建てのアパートは、共用部に集合エントランスがなく、外廊下・外階段仕様の物件が一般的です。
そのため、2~3階建てのアパートでエントランスのオートロックや宅配ボックスを設置するためには、集合エントランス仕様の建物構造にする必要があるのです。

また、付加価値設備の中には、24時間利用可能ごみ置き場がランクインしており、この設備も共用部の構造で有無が決まる設備です。
集合エントランスのある賃貸マンションであれば、これらの共用部の設備を設置しやすいですが、アパートは共用部の設備を設置しにくいと言えます。
そのため、共用部をどう造るかも併せて建物構造を検討することが必要となるのです。

後からでは設置しにくい設備を優先する

アパートを新築するときは、後からでは設置しにくい設備を優先して検討することが望ましいです。
例えば、単身者向けの必須設備、付加価値設備共に6位に入っている人気の設備として独立洗面台があります。

独立洗面台は、単なる設備ではなく、独立洗面台を設けるために人の稼働スペースが必要となる設備です。
そのため、部屋の広さを決めて建築したあとに独立洗面台の設置を思いついても、設置できなくなってしまうことも多いです。
そのため、独立洗面台は計画の初期段階で意識しないと設置できなくなる可能性がある設備となっています。

一方で、エアコンや備え付け照明といった設備は、後からでも付加することが可能なため、入居状況を見て、竣工後でも入居促進を目的にサービス追加を判断できる設備となります。
後から簡単に追加できてしまう設備は、真似されやすいため、競合物件との差別化が難しくなります。

それに対して、独立洗面台のような後から加えにくい設備は、真似されにくいことから、希少性が高くなり、物件の強みとすることができます。

後付けが難しい設備
(計画の初期段階から取付を考慮すべき設備)

単身者向け間取り ファミリー向け間取り
  • ・室内洗濯機置き場
  • ・独立洗面台
  • ・エントランスのオートロック
  • ・室内洗濯機置き場
  • ・独立洗面台
  • ・追い焚き機能
  • ・システムキッチン
  • ・エントランスのオートロック
  • ・ガスコンロ(二口/三口)

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験で培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド アパート経営編」の「商品競争力を維持するために」から「アパート経営で商品競争力を維持する人気の設備」についてご紹介。「アパート経営で商品競争力を維持する人気の設備」では、時代と共に変化する入居者ターゲットに応じた人気の設備を紹介すると共に新築時に検討すべき設備について解説します。