土地活用 アパート経営ガイド -相続編-

3.相続税の節税対策

非課税枠の活用(生命保険)

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土地活用のみで相続税対策を検討するよりも、他に有効な対策方法があれば、併せて利用した方が合理的と言えます。その代表的な方法が生命保険です。
生命保険金には相続税の控除枠があるため、アパート経営と生命保険を併せて相続税対策を行えば、効果的かつ柔軟な相続税対策が可能になってきます。
ここでは、生命保険金の相続税非課税枠について解説します。

生命保険の非課税枠とは?

保険契約者(費用負担者)、被保険者が被相続人で、受取人が相続人である生命保険金は、みなし相続財産として相続税の課税対象になります。

生命保険の非課税枠とは?

「それなら、現金や預金と同じ扱いでは?」と思うかもしれません。しかし、生命保険金には非課税枠と言うものがあります。

正しくは、「非課税限度額」と言います。受け取った生命保険金が非課税限度額の範囲であれば、課税対象になりません。この点が、現預金よりも生命保険の方が節税効果があると言われる理由です。

非課税限度額は、次の計算式によります。

500万円 × 法定相続人数

法定相続人が4人いれば、500万円 × 4人 = 2,000万円までは非課税になります。

現金や預金にはこのような非課税枠が無いので、比べるとかなり節税効果があることがお分かり頂けるのではないでしょうか。

なお、法定相続人数には、相続を放棄した相続人も含まれます。相続人に養子がいる場合、実子がいれば養子は1名まで、実子がいなければ養子は2名まで、法定相続人数に含めることができます。

受取人が相続人でない(相続を放棄した場合も含む)場合は、この非課税枠はありません。また、保険契約者と被保険者、受取人の関係により、相続税ではなく所得税や贈与税が課税されることもあります。

節税効果を試算してみよう

仮に、現預金で2,000万円を相続した場合と、生命保険金を2,000万円受け取った場合で、節税効果を試算してみましょう(基礎控除等は度外視します)。法定相続人は4名、法定相続分は各1/4とします。

■現金で相続した場合

相続税の総額

500万円 × 10%(税率) × 4人
= 50万円 × 4人

200万円

※いったん法定相続分(1人500万円)で相続したと仮定し、相続税の総額を計算します。

■生命保険を活用して相続した場合

相続税の総額

0円

実際には基礎控除や各種控除、特例があるのでこれほど単純に比較できるものではありませんが、節税のイメージは掴めるのではないでしょうか。

節税効果を試算してみよう

生命保険で節税を考えるときに注意すること

前述のように、保険契約者、被保険者、保険金の受取人の要件を守ることも大事ですが、遺産分割の配慮をしないと、相続争いになってしまうこともあります。

生命保険金はみなし相続財産として相続税の課税対象になりますが、相続財産そのものではないので、遺産分割の対象にはなりません。受取人に指定された人が受け取ります。

生命保険金を受け取ったからと言って、その分受け取る遺産が減る訳ではないので、他の相続人としては不公平感を持ちやすいのです。

相続争いを避けるためには、受け取る生命保険金の金額を考慮し、遺言書であらかじめ遺産の分割方法を指定することが有効です。遺言による遺産分割方法の指定は、法定相続分に優先します。

例えば、生命保険金を受け取る相続人より、他の相続人の遺産取得額を優遇するなど、遺言書に指定しておくことで、無用な争いを回避しやすくなるでしょう。

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験で培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド 相続編」の「相続税の節税対策」から「非課税枠の活用(生命保険)」についてご紹介。現預金よりも生命保険の方に節税効果があると言われる理由は、「非課税限度額」という非課税枠があるためです。法定相続人数1人につき、500万円が非課税となるため、このような非課税の枠がない現預金と比べると、かなりの節税効果が得られます。ただし、生命保険金は相続財産そのものではなく、遺産分割の対象にできないため注意が必要です。