土地活用 アパート経営ガイド -相続編-

3.相続税の節税対策

遺言書による相続対策

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土地活用による相続税対策を行う場合、例えばアパート経営の計画地を誰が相続するかといった、相続後のことも視野に入れてプランを検討するのが基本ですが、
加えて、遺産相続争いを予防するために遺言書を作成しておくことが有効です。遺言書があれば、遺産分割で揉める場合、遺言書に従って遺産分割することになるためです。
ここでは、遺言書による相続対策について解説します。

遺言書の種類

下図は、公正証書の作成件数です。増加傾向にあることが分かります。このように遺言書を作る人は、年々増えてきていて、関心も高まっています。

遺言書の種類
平成24年 平成25年 平成26年 平成27年 平成28年
作成件数 88,156件 96,020件 104,490件 110,778件 105,350件

遺言書には3つの種類があります。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。

1自筆証書遺言

すべてを自筆し、署名捺印する遺言書です。紙とペン、印鑑があればいつでも作成できるので手軽に取り組めます。ただし、修正方法や様式の誤りで無効になることも多いので、しっかり確認する必要があります。

2公正証書遺言

公証人(国の公務である公証事務を担う公務員)に遺言書を作成してもらう方法です。公正証書は公文書で、安全性や信頼性が高い文書です。原本は公証役場で保管されます。公証人は法律のプロなので、形式的な無効になることはないと言っても良いでしょう。数万円から数十万円(財産金額による)の手数料がかかります。また、証人2名以上の立ち合いのもと作成されるので、「絶対に他人に内容を知られたくない」という場合は向いていません。

3秘密証書遺言

遺言書を作成し、公証役場で手続きします。公証役場では、証人立ち会いのもと公証人が、その遺言書を提出した日付、及び遺言者の申述を封紙に記載したのち、遺言者及び証人とともに署名押印します。公証役場で保管されるのではなく、遺言者本人(または管理を任された人)が保管します。氏名さえ自署してあれば、あとはパソコン等で作成することもできます。自筆証書と同じで、形式的な無効になることもあり、あまり利用されない遺言方法です。

遺言書で相続対策

相続で気になるのは、相続税だけではありません。相続争いも、心配ごとのひとつではないでしょうか。

遺産額が数百万円程度でも、家族仲が良くても、争いになることはあります。遺言書で、相続争い対策をしておきましょう。

【対策①】 誰がどの遺産を取得するかはっきりさせることで、無用な争いを避ける

遺言の内容は、法定相続分に優先します。したがって、遺言にどの財産を誰が取得してほしいかを記載すれば、基本的にはその通りになります。

相続人は、それぞれ自分に有利になるように遺産分割を考えがちです。例えば、評価額500万円の株と500万円の現金があれば、500万円の現金がほしい相続人は「株の評価と同じだけの現金だから、現金500万円をもらうのは公平な分け方だ」と主張するでしょう。

しかし実際は、すぐに使える現金の方が株よりも財産的な価値は高いと感じる人も多いと思います。そこで、遺言書で「子Aには株式全部と現金50万円、子Bには現金450万円を相続させる」として、株式を相続する子への配慮をすることができます。

また、生命保険金を受け取る相続人がいるなら、その分、相続財産を減らすなどの配慮も、遺言書によって行なうことができます。

【対策②】 分割してほしくない財産を守る

相続財産の大半が不動産の場合、不動産が分割されてしまうと何かと困ります。特に、自宅であればそこに住み続けたい相続人が困ることになります。

また、自社株を分散させたくないこともあるでしょう。そんな場合、それらの財産を、特定の相続人に相続させる旨の遺言書を残すことで、対策できることもあります。

ただ、遺留分には注意が必要です。特定の相続人に偏り過ぎた分配をすると、他の相続人が遺留分を主張してくることもあるからです。遺言書には「付言」を付けられるので、どんな思いでそのような遺言をしたかを記しておくことで、相続人がその気持ちを汲んでくれることもあります。付言も活用して、争いを避けるように配慮しましょう。

相続手続きの負担軽減

公正証書遺言には、相続手続きの負担軽減効果もあります。自筆証書遺言であれば、家庭裁判所での検認が必要です。検認を受けるため、被相続人や相続人の戸籍、住民票などを集めなくてはならず、かなりの手間がかかります。

一方、公正証書遺言は検認の必要がありません。すぐに相続手続き(名義変更など)に使用できるので(一部の戸籍等は必要です)、すばやく名義変更をし、相続人の生活を落ち着かせることができます。

このような効果からも、遺言書を作るのであれば公正証書遺言を作ることをお勧めします。遺言書は何度でも作りなおすことができるので、思い立ったときが良い機会です。相談は無料なので、お近くの公証役場に行ってみましょう。

相続手続きの負担軽減

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験で培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド 相続編」の「相続税の節税対策」から「遺言書による相続対策」についてご紹介。遺言書には「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」の3種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。しかし遺言書は、相続争い対策をする上で欠かせません。遺言書に、どの財産を誰が取得して欲しいか記載することで、無用な争いを避け、不動産の中でも分割されてしまうと困る自宅などの財産を守ることもできます。遺言書は何度でも作り直すことができ、相談も近くの公証役場にて無料で受けられますので、思い立ったときが遺言書を作る良いタイミングと言えるでしょう。