土地活用 アパート経営ガイド -相続編-

5.実際の手続き

家族の死亡後における相続の手続き

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人が亡くなったときの手続きには様々なものがあり、土地活用とも無関係ではありません。特にアパート経営者様が亡くなられた場合には、相続人が「準確定申告」を行う必要が生じることが多いでしょう。
ここでは、相続発生から相続税の納付までの、手続きの全体像を解説します。

7日、3ヵ月、10ヵ月が重要キーワード

人が亡くなると、次々にやるべきことが出てきます。なかには、期限内に行なわなければならない手続きもあるので、どんな手続きがあるのかを把握し、遅れずに手続きできるようにしましょう。

様々な手続きがありますが、特に重要なのが、死亡届、相続放棄・限定承認の手続き、相続税の申告・納税です。

死亡届の期限は死亡を知った日から7日以内、相続放棄・限定承認の手続き期限は相続開始から3ヵ月、相続税の申告・納税は相続開始から10ヵ月以内に手続きが必要です。

申告期限

死亡届とお葬式・火葬

亡くなったあと、すぐに行なわなくてはならないのが死亡届の提出です。死亡届は、死亡を知った日から7日以内に市区町村役場に届出なければなりません。死亡届をしないと火葬ができないので、この手続きを怠る人は少ないと思いますが、期限が7日間しかないので注意しましょう。

通常は同居の家族などが届出します。相続人であるかどうかは関係ありません。同居の家族がいなければ、同居ではない家族や親族が届出してもかまいません。死亡者の死亡地・本籍地、または届出人の所在地の市区町村役場に届出します。死亡地とは、例えば病院などのことです。死亡した病院の近くの役場に死亡届を出すこともできるのですが、本籍地から離れていると、戸籍に死亡の記載がされるまでに2週間近くかかることもあるので、その点は注意しましょう。

死亡届と同時に、火葬許可申請を行ないます。文字通り、火葬を行なうための手続きです。申請期限はありませんが、お葬式は火葬場を押さえ、火葬の日と時間に合わせて行なうため、死亡届・火葬許可申請をしなければ、お葬式をすることができません。

火葬が終わると、火葬場で埋葬許可証を受け取ります(一般的には骨壷を納める箱の中に入れてくれます)。これは、お墓に納骨するための書類です。この書類を、墓地の管理者(寺院墓地であれば住職)に提出しないと、納骨ができません。

このように、亡くなってすぐに一連の手続きが必要です。

死亡届とお葬式・火葬

相続に関する手続き

相続に関する重要な期限は、3ヵ月と10ヵ月だと覚えておきましょう。

[相続放棄・限定承認]3ヵ月以内

相続は、放棄することもできます。相続するか、放棄するか、それとも限定承認するかを検討する期間を熟慮期間と言い、相続開始から3ヵ月以内にいずれかに決める必要があります。もし、この期間に放棄の手続きも限定承認の手続きも行なわなければ相続(単純承認)したとみなされます。

仮に、被相続人に借金があれば、単純承認した相続人は、借金も相続してしまいます。

相続放棄、限定承認は家庭裁判所での手続きが必要です。相続放棄は各相続人が単独で手続きできますが、限定承認はすべての相続人が共同で行なわなくてはならないので、3ヵ月間あると言ってもあまり時間的な余裕はありません。

[相続税の申告・納税]10ヵ月以内

相続税の申告・納税は、10ヵ月以内に行なわなくてはなりません。この期限を過ぎると、延滞税が課されたり、大きな節税効果のある特例や控除が利用できなくなることもあります。

準確定申告

年の途中で亡くなった場合、4ヵ月以内に確定申告が必要です。これを、準確定申告と言い、故人の所得税を納めるための手続きです。ただし、会社員などは原則として会社が年末調整をしてくれるので準確定申告は不要です。準確定申告が必要なのは、一言で言えば生前に確定申告が必要だった人です。

例えば、

・自営業者

・不動産収入がある人

・年収2,000万円を超える人

などです。故人が賃貸マンション・アパートのオーナー様であれば、準確定申告が必要な人に該当します。

準確定申告は、相続人が行ないます。相続人が複数人いる場合は各相続人が連署により準確定申告書を提出しますが、各自別々に申告書を提出することもできます。

準確定申告

銀行口座は亡くなってすぐ凍結される?

口座の名義人が亡くなったことを銀行に知らせると、口座が凍結されて預金が動かせなくなります。「知らせると」であって、よほどの有名人でもない限り、亡くなったら自動的に凍結されるわけではありません。そのため、亡くなったあとも故人のキャッシュカードでお金を下ろす人もいます。

しかし、預金は相続財産なので、一部の相続人等が勝手に預金を引き出せば、後々トラブルになることもあります。また、預金を引き出せば単純承認したとみなされることもあるので、慎重な行動が求められます。

こういったトラブルを避けるためにも、銀行等にも死亡を届出て、いったん口座を凍結し、遺産分割が済んでから解約することをお勧めします。

なお、お葬式の費用など緊急に必要な費用に限り(150万円程度)、口座を凍結されても引き出すことができます。各銀行での手続きが必要なので、詳細は窓口でご相談下さい。

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験で培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド 相続編」の「実際の手続き」から「家族の死亡後における相続の手続き」についてご紹介。人が亡くなったときに、期日内に行なわなければならない手続きとして「死亡届」、「相続放棄・限定承認の手続き」、「相続税の申告・納税」があります。それぞれ7日、3ヵ月、10ヵ月以内と決まっており、特に「相続税の申告・納税」は期日を過ぎると、延滞税が課されるだけでなく、節税効果を得られる特例・控除が利用できなくなることもあるので注意しましょう。