土地活用 アパート経営ガイド -相続編-

5.実際の手続き

遺言書の開封

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相続対策には、土地活用・アパート経営といった相続「税」対策とは別に、相続人の間で相続争いが起こることを防止する対策を取ることも大切です。
この際に有効な方法が遺言書を作っておくことですが、遺言書は、開封方法などの扱いを誤ると、のちのトラブルにつながることもあります。
ここでは、遺言書の取り扱いに関する基本的なルールを解説します。

封印された遺言書が出てきたら

遺品の整理をしていて、もし遺言書が出てきたら、封印(または封入、以下「封印」と言います)されているかどうかをまず確かめて下さい。封印されている自筆証書遺言であれば、その場で開封してはいけません。家庭裁判所で検認を受ける際に開封します。

封印された遺言書が出てきたら

もし開封してしまったら5万円以下の過料に処せられることがあります。

それ以上に、検認前に開封してしまうと、遺言書の改ざんを疑われます。

しかし、公正証書遺言であれば、その場で開封してかまいませんし、検認も不要です。公正証書遺言は、原本が公証役場に保管されているので、改ざんすることはできないからです。なお、公証役場での保管期間は20年と定められていますが、実際にはそれよりも長く、遺言者が120歳前後になるまで保管しているところが多いようです。

検認

検認とは、相続人に対し遺言の存在、及びその内容を知らせ、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日における遺言書の内容を明確にすることで、遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。

もし、検認前に誰かが封印された遺言書を開封してしまえば、その人が遺言書に加筆などの改ざんを加えるかもしれません。手書きの遺言書は「1」と「4」、「二」と「三」など、簡単に改ざんすることができてしまいます。そのため、封印された遺言書は、家庭裁判所の検認を受けるまで開封してはならないことになっています。

なお、検認はすべての相続人が揃わなくても、申立人さえ出席すれば行なわれます。

検認の手続き

検認は、遺言者の最後の住所の家庭裁判所に申立てます。

申立人 遺言の管理者、または遺言書を発見した相続人
必要書類
  • ・遺言書
  • ・申立書
  • ・遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本

他、相続人の構成により異なる

費 用

遺言書1通につき印紙代800円

連絡用郵便切手

期 限 発見後すみやかに

検認は、遺言書の有効・無効を判断する手続きではありません。開封の時点の遺言書の姿を明らかにし、改ざん等を防ぐことが目的です。よって、遺言書の内容について争いがあれば、あらためて調停や裁判を行なうことになります。

遺言書と相続手続き

遺言で相続財産の分割方法や割合などが指定されていれば、遺言内容が法定相続分より優先されます。

遺言書に基づいて相続手続きを行なう場合、自筆証書遺言であれば検認をうけないと、手続きには使用できないのが原則です。

一方、公正証書遺言であれば検認は不要で、すぐに相続手続きに使用することができます。

また、万が一公正証書遺言を紛失してしまったとしても、遺言があるということさえ分かっていれば、全国の公証役場で検索することができます。自筆証書遺言は、日付の書き忘れなどにより無効になることも多いので、検認の手間、万が一紛失したときのことも考えると、遺言を作るなら公正証書遺言にしておく方が、相続人にとっても助かります。

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験で培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド 相続編」の「実際の手続き」から「遺言書の開封」についてご紹介。「自筆証書遺言」の場合、見つけて勝手に開封してしまうと、5万円以下の過料や遺言書改ざんを疑われる可能性もあるため、注意が必要です。「公正証書遺言」であれば、家庭裁判所の検認が必要なく、紛失しても公証役場に原本があるため、改ざんすることができません。