土地活用 アパート経営ガイド -相続編-

5.実際の手続き

相続した財産の名義変更

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アパート経営などの土地活用で相続税対策を行うことで、より多くの財産を次世代に遺すことができます。
相続財産は、財産の種類に応じた窓口で、それぞれ名義変更の手続きを行う必要があります。
ここでは、相続財産の代表的な手続き方法について解説します。

預貯金

預貯金の場合は、名義変更より解約を選ぶ人が多いと思います。ここでは、解約の手続きを案内します。

預貯金の解約は、口座を持っている銀行ごとに行ないます。解約のための届出書は銀行ごとに異なるので、口座が複数あるときは間違えないように注意しましょう。

なお、届出書に添付する書類はだいたいどこの銀行でも同じです。最初にすべての必要書類を洗い出しておくと、のちの手続きがスムーズにできます。

ゆうちょ銀行以外(金融機関)

各種金融機関
主な必要書類
  • ・金融機関指定の届出書等
  • <遺言書があるとき>
  • ・遺言書のコピー、公正証書遺書の場合は正本か謄本

    ※自筆証書遺書の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • <遺産分割協議書があるとき>
  • ・遺産分割協議書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本
  • ・相続人全員の印鑑証明書

各種金融機関

主な必要書類
  • ・金融機関指定の届出書等
  • <遺言書があるとき>
  • ・遺言書のコピー、公正証書遺書の場合は正本か謄本

    ※自筆証書遺書の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • <遺産分割協議書があるとき>
  • ・遺産分割協議書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本
  • ・相続人全員の印鑑証明書

ゆうちょ銀行の場合

全国のゆうちょ銀行
主な必要書類
  • ・相続確認表
  • ・貯金等相続手続き請求書
  • <遺言書があるとき>
  • ・遺言書のコピー、公正証書遺言の場合は正本か謄本

    ※自筆証書遺言の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • <遺産分割協議書があるとき>
  • ・遺産分割協議書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本
  • ・相続人全員の印鑑証明書

全国のゆうちょ銀行

主な必要書類
  • ・相続確認表
  • ・貯金等相続手続き請求書
  • <遺言書があるとき>
  • ・遺言書のコピー、公正証書遺言の場合は正本か謄本

    ※自筆証書遺言の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • <遺産分割協議書があるとき>
  • ・遺産分割協議書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本
  • ・相続人全員の印鑑証明書
各種金融機関
ゆうちょ銀行

株・投資信託

株式や投資信託を相続したときは、被相続人の総合口座等をそのまま使うことはできません。株や投資信託を売却して、現金で受け取るということもできません。いったん相続人自身の口座を作成し、そこに移すことになります。その後、持ち続けるか売却するかは自由です。

各種証券会社等
主な必要書類
  • ・証券会社指定の届出書
  • <遺言書があるとき>
  • ・遺言書のコピー、公正証書遺言の場合は正本か謄本

    ※自筆証書遺言の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • <遺産分割協議書があるとき>
  • ・遺産分割協議書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本
  • ・相続人全員の印鑑証明書

各種証券会社等

主な必要書類
  • ・証券会社指定の届出書
  • <遺言書があるとき>
  • ・遺言書のコピー、公正証書遺言の場合は正本か謄本

    ※自筆証書遺言の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • <遺産分割協議書があるとき>
  • ・遺産分割協議書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人全員の戸籍謄本
  • ・相続人全員の印鑑証明書
株・投資信託

自動車(普通車)

自動車(普通車)の名義変更を、移転登録と言います。原則として、廃車にする場合でもこの手続きが必要です。ここでは、普通車の移転登録について案内しますが、軽自動車の場合は手続き先(軽自動車検査協会)も必要書類も異なります。

相続人の使用の本拠を管轄する運輸支局
主な必要書類
  • ・遺産分割協議書、または遺言書(コピー可)

    ※自筆証書遺言の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・移転登録申請書
  • ・手数料納付書
  • ・自動車税申告書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • ・発行後1ヵ月以内の車庫証明

相続人の使用の本拠を管轄する運輸支局

主な必要書類
  • ・遺産分割協議書、または遺言書(コピー可)

    ※自筆証書遺言の場合は検認調書、または検認済証明書のコピー

  • ・移転登録申請書
  • ・手数料納付書
  • ・自動車税申告書
  • ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • ・相続人の印鑑証明書
  • ・発行後1ヵ月以内の車庫証明
自動車(普通車)

法定相続情報証明制度

前述のように、名義変更手続きには被相続人の出生から死亡までの戸籍や、相続人全員の戸籍など、戸籍謄本を添付しなければならないことが多いです。戸籍謄本が大量になる上に、提出してみたら、「足りない戸籍があるようです」と指摘されることも珍しくありません。

また、複数の名義変更を同時に進めたければ、戸籍謄本の束も手続きの数だけ必要になってしまい、費用がかさみます。

そんな問題を解決してくれるのが、法定相続情報証明制度です。

法定相続情報証明制度とは、法務局に戸除籍謄本等と法定相続情報一覧図を提出すると、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付してくれる制度です。その写しを名義変更手続きの際に提出すれば、何度もすべての戸籍謄本を提出しなくて済みます。

登記官が戸籍を確認するので、その時点で不足する戸籍等があれば、指摘してもらうことができます。写しは5年間何度でも再交付してもらうことができます。

法定相続情報証明制度は、相続した不動産の名義変更をやりやすくすることを目的にしているので、不動産の名義変更手続きに使えば大変便利です。ただし、従来通りの戸籍の束での手続きを禁止するわけではないので、預貯金の解約手続きなどでは、相変わらず戸籍の束を求められることもあります。また、相続税の申告書に添付する戸籍等の代わりに、法定相続情報一覧図の写しを添付して申告することはできません。

つまり、まだ対応している手続きと対応していない手続きが混在しているので、対応していない手続きが多ければ、あまりメリットを感じられないかもしれません。不動産の名義変更が複数あれば、利用する価値は大いにあります。

法定相続情報一覧図

▲法定相続情報一覧図

出典:法務局ホームページ

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験で培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド 相続編」の「実際の手続き」から「相続した財産の名義変更」についてご紹介。財産の名義変更は、相続した財産の種類ごとで異なります。その中でも共通して必要になることが多い書類が、被相続人の出生から死亡までや、相続人全員の戸籍謄本です。用意しようとすると、かなりの量になり処理が大変なため、「法定相続情報証明制度」を利用し、手続きを行ないやすくすると良いでしょう。