土地活用 アパート経営ガイド -アパート経営編-

1.土地活用 アパート経営の基礎知識

アパート経営による土地活用の基本

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アパート経営を始めるにあたっては、土地活用の基本的な知識を持っておいたほうが有利です。土地を所有する地主様は、土地活用専門会社などから土地活用の提案を受けると思いますが、基本知識を持っているとプランの良否を判断できるようになります。
ここでは「アパート経営による土地活用の基本」について解説します。

入居者ターゲットの選定

市場調査により賃貸入居需要が見込めることを確認する

土地活用でアパート経営を行うには、まず入居者ターゲットを選定することが重要で、ターゲットの選定が、間取りの選択に直接的な影響を与えます。

アパート経営で考えられる主な入居者ターゲットは、単身者、2人暮らし、3人以上のファミリー世帯の3つです。賃貸需要の強さは、単身者⇒2人暮らし(ペア)⇒ファミリー世帯の順となります。

ファミリー世帯は住戸面積が広く、家賃の総額が高くなってしまうことから、借りるよりも買った方が安いという判断になりやすいため、ファミリー世帯は相対的に賃貸需要が弱くなり、購入需要が強くなる傾向があります。

一方で、単身者は住宅ローンを組んでワンルームマンションを購入するケースはほとんどないため、単身世帯は相対的に購入需要が弱くなり、賃貸需要が強くなります。
このようなことから、アパート経営は賃貸需要の強い単身者をターゲットとした方が借主を決めやすくなり、賃貸経営も高収益となります。

ただし、単身者の需要は利便性の高い立地に集中しがちです。
通勤がしやすく、他路線への乗り換えができる駅や快速が停まる駅の徒歩5分圏内のような立地が単身者向けのアパート経営に適しています。2人暮らし(ペア)も同様です。

一方、駅から10分以上離れ、小学校に近い住宅地の中にあるような土地では、ファミリー世帯の方が貸しやすくなります。
貸しやすいターゲットは立地によって異なるため、まずは地域の入居需要を鑑み、適切な入居者ターゲットを決めることから始めるのが基本です。

間取りの選択

ターゲットを決めたら、次に間取りを選択します。
間取りは単身者向けなら1K(もしくはワンルーム※)または1LDK、2人暮らし(ペア)なら2LDKまたは広めの1LDK、ファミリー世帯なら3DK、3LDKが基本です。
(※1Kとワンルームの違いは、キッチンと居室との間に扉があるか否かという違いだけですので、ここでは1Kもワンルームも「1K」と表記します。)

賃料単価に関しては、間取りが影響します。
賃料単価は狭い間取りほど高くなりますので、3LDKよりも1Kの方が賃料単価は高くなり、高収益の土地活用を行うことができます。

一方で、建築費単価に関しても、間取りが影響します。
建築費単価は、狭い間取りほど高くなります。狭い間取りは、延床面積に対して戸数が増え、バスやトイレ、キッチン等の住宅設備の数も増えます。
その結果、同じ延床面積では3LDKよりも1Kの方が建築費単価は高くなり、投資額が増えるのです。

1Kのような小さい間取りに関しては、地域によっては条例が影響することもあります。
例えば、最低住戸面積が指定されている自治体では、最低住戸面積以上にする必要があります。最低住戸面積は、自治体によって18㎡や25㎡、28㎡等があり、最低住戸面積が広いほど家賃総額が上がり貸しにくくなることから、貸主にとっては不利に働きます。

また、単身者向けのアパートは、郊外では1Kよりも1LDKの方が借主は見つけやすくなることも多いです。郊外は元々賃料が安いことから、1LDKでも単身者が十分に支払うことができる家賃帯になります。
狭い1Kよりもゆとりのある1LDKの方が暮らしやすいことから、家賃が安ければ単身者も1LDKを選ぶことが多いのです。そのため、1Kと1LDKは、地域の事情に合わせて選択することが適切です。

それに対して、3LDKのような大きな間取りに関しては、広くし過ぎないことを意識することが必要です。
借主側の立場からすると、専有面積は広い方が暮らしやすいですが、広い面積にすると家賃の総額が上がってしまうことから、貸主側の立場からすると貸しにくくなります。

入居者ターゲットと間取りの選定

入居者ターゲットと間取りの選定

建物規模の決定

建物の規模は、都市部の狭い土地の活用であれば、容積率を最大限使い切ることが基本となります。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合のことで、例えば、60坪の土地で容積率が100%で指定されている場合には、延床面積も60坪まで建てることができます。

都市部の狭い土地の活用であれば、容積率を使い切ることが基本ですが、一方で郊外の広い土地で容積率が200%以上で指定されているような場合、容積率を余らせて建てる判断も必要となってきます。
理由としては、郊外の広い土地で容積率を消化しきる建物を建ててしまうと、地域の賃貸需要を捉えきれないほどの巨大なアパートが建ってしまうからです。

郊外は都市部と比べて賃貸需要が弱いため、大き過ぎるアパートを建てると空室を埋めきれないというリスクがあります。そのため、郊外の物件は、賃貸需要を鑑み建物規模を決める必要があります。

駐車場およびバイク置き場の検討

駐車場およびバイク置き場の検討

アパートでは、駐車場およびバイク置き場の検討も重要です。
郊外のアパートで車が必須の地域では、住戸に対して1台以上の駐車場がないと入居者様を決めにくくなります。駐車場の台数は、地域の事情を鑑みて決定することが必要です。

一方で、都市部の単身者世帯向けのアパートでは、入居者様にバイク置き場のニーズがあります。バイク置き場は、条例で設置義務がないことがほとんどであるため、設計時に企画しないと設置し忘れてしまうことが多いです。
バイク置き場は空室対策で後から設置する物件もあるくらいですので、計画段階から設置することをおすすめします。

構造およびエントランスの選択

アパートは、「構造」および「エントランス」も重要となってきます。
まず、「構造」ですが、昨今大地震に対するリスクが懸念されており、地震に強い構造体のニーズが高まっています。
また、「エントランス」(集合玄関)については、入居者ニーズに応えるには必須となります。

入居者ニーズの高い設備に、オートロックや防犯カメラ等がありますが、これらはすべてエントランス(集合玄関)がある物件でないと実現できません。
木造や軽量鉄骨造のアパートでは、集合玄関がなく、外廊下・外階段方式の物件が多くなり、エントランスのオートロック等が設置できなくなります。物件の競争力を上げるには、鉄筋コンクリートや重量鉄骨造で建て、自動扉付きのエントランスにオートロック等を設置し、マンションのようなアパートを建てることが望ましいと言えます。

管理方式の選択

管理方式の選択

アパートの管理方式には、大きく分けて「管理委託方式」と「家賃保証型サブリース」の2種類があります。
「管理委託方式」とは、管理会社と管理の委託契約を締結する管理方式です。
「家賃保証型サブリース」とは、管理会社と一棟全体の賃貸借契約を締結し、転貸によって管理する方式になります。

管理会社に支払う管理委託料は管理委託方式の方が安いことから、貸主の収益性は管理委託方式の方が高くなりますが、空室リスクに関しては「家賃保証型サブリース」の方が安心です。
管理方式は、収益性に大きな影響を及ぼすため、両者の特徴を踏まえて適切なものを選択することが望ましいと言えます。

アパート以外の土地活用も検討する

土地活用を検討するにあたっては、アパート経営以外の土地活用も可能性がないか探ることも必要です。
土地活用の賃料単価は、用途によって異なります。
賃料単価は高い順から並べると、貸店舗⇒貸事務所⇒賃貸住宅⇒老人ホームという順番になることが一般的です。
つまり、アパートのような賃貸住宅よりも、貸店舗の方が賃料単価は高くなるため、例えば郊外の広い土地で交通量の見込める道路に面した土地の場合、1階にコンビニ、2~3階を賃貸住宅にするといった計画も考えられます。
1階を貸店舗にすることで、建物全体の収益性を上げられます。
このように、店舗の需要が見込めれば、貸店舗を優先的に検討することも重要です。

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験と培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド アパート経営編」の「土地活用 アパート経営の基礎知識」「アパート経営による土地活用の基本」では、土地活用でアパート経営を検討する際に知っておくと便利な基本知識について解説しています。