土地活用 アパート経営ガイド -相続編-

1.相続税とは

相続税の税率と基礎控除

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ここでは、土地活用・アパート経営による相続税対策の基本となる、相続税の基礎控除と税率について解説します。
相続税対策としてアパート経営を行う場合、「相続財産を基礎控除の範囲内に抑える」、「相続財産の評価を落として税率を下げる」という2点が基本戦略となります。基礎控除と税率については、相続税対策の基礎知識として押さえておきましょう。

相続税は誰が払うのか

人が亡くなれば、その家族は相続人になります。しかし、そのすべての相続人が相続税を支払うわけではありません。

相続には、被相続人の財産を承継させて相続人の生活を守るという役割があります。もし、相続税を払うために、せっかく相続した財産の大半を失うようなことがあっては困ります。そこで、一定の財産額までは相続税を支払わなくて済むよう、「基礎控除」という仕組みがあるのです。財産を相続しても、財産の評価額が基礎控除の範囲内であれば、相続税はかからないのです。

また、相続人であっても、遺産を受け取らなかった人は、相続税を払う必要はありません。つまり、相続税を支払うのは、基礎控除額を超える遺産を受け取った相続人です。

相続人以外で相続税を支払う可能性があるのは、遺言によって遺産を受け取った「受遺者(ジュイシャ)」です。遺贈も贈与の一種なので、贈与税がかかると思われがちですが、実際には相続税が課税されます。

なお、遺産を受け取った相続人、または受遺者が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった直系卑属を含む孫)でない場合は、相続税の額を2割加算して課税されます。

相続税を払うのは相続人の8%程度

相続があった人のうち、相続税が課税された人の割合

相続があった人のうち、相続税が課税された人の割合

※出典:国税庁

国税庁の統計データによると、平成28年度に相続税を払ったのは、相続人全体の8%程度でした。これは、多くの人は財産を相続しても、財産の評価額が「基礎控除」の範囲に収まるためです。

しかし、平成27年に相続税法が改正され、基礎控除の額が下げられました。その影響で、平成26年と比べ、27年以降の課税対象者はそれまでの2倍近くに増え、「相続大増税時代」として話題になりました。特に都市部では大幅増となっており、東京都では13.2%が課税対象になりました(平成29年分)。相続税を他人事と考えず、生前の対策が重要になって来ていることがうかがえます。

相続税の基礎控除額

基礎控除額は、次の計算によって求めます。

基礎控除の金額 =
3,000万円法定相続人数 × 600万円

基礎控除額は、法定相続人の人数によって変わってきます(相続を放棄した相続人も含みます)。例えば、法定相続人が妻、子2人の合計3人であれば、3,000万円 + 3 × 600万円 = 4,800万円となります。この場合、相続した財産の評価額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。

ちなみに、平成27年に税制が改正されるまで、基礎控除の計算式は、「5,000万円 + 法定相続人数 × 1,000万円」でした。この改正により、基礎控除額が4割も縮小されたことで、それまで4%台だった相続税の課税対象者が、一気に8%台まで増えたのです。

相続税の税率

相続税は、「累進課税」と言って、取得した遺産の額が多ければ多いほど税率が高くなります。「控除額」とは、取得金額 × 税率で計算した税額から控除できる金額です。この他に、相続人の年齢や続柄に応じた控除があり、最終的に支払う金額がだんだん減っていきます。詳しい計算方法は、「税金編 6.不動産を相続したときの税金 相続税の計算方法」をご参照下さい。

相続税の税率 平成27年1月1日以降死亡の場合

取得金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

東建コーポレーションでは土地活用をトータルでサポート。豊富な経験で培ったノウハウを活かし、土地をお持ちの方や土地活用をお考えの方に賃貸マンション・アパートを中心とした最適な土地活用をご提案しております。こちらのページでは、「土地活用 アパート経営ガイド 相続編」の「相続税とは」から「相続税の税率と基礎控除」についてご紹介。相続税を支払うのは、「基礎控除」を超える金額を相続した相続人となります。相続人でも、遺産を受け取らなかった場合は、相続税を支払う必要はありません。しかし、相続税を決して他人事と考えず、生前の対策が重要ということを知っておきましょう。