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この記事では、土地活用をビジネスの観点から解説します。
土地活用は、主に「借家事業」と「借地事業」、「暫定利用」という3つのビジネスモデルに分けることができます。
こうした、3つの土地活用のビジネスモデルについて、特徴をひとつひとつ解説した上で、代表的な土地活用ビジネスとして、10選をご紹介します。
土地オーナー様の中には、土地活用によるビジネスを始めたいと考えている人もいらっしゃることと思いますので、ぜひ、本記事をお役立て下さい。
最後までお読み頂ければ、土地オーナー様にとって有益な情報を得ることができると思います。
関連記事:【2024年最新版】土地活用の方法28選| 特徴や選び方を解説!
目次
土地活用のビジネスモデルは3種類に分類できる

そのビジネスモデルとは、土地オーナー様が自ら建築した建物を貸す「借家事業」、土地だけを貸し出し、借主側に建物を建築してもらう「借地事業」、そして、建物の建築を目的としない借主に土地を貸し出す「暫定利用」の3つです。
これら3つの土地活用ビジネスについて、ひとつひとつ解説します。
[ ビジネスモデル ❶ ]借家事業
借家(しゃっか)事業とは、建物を建てて、その建物を他人に貸し、家賃収入を得るビジネスモデルです。
いわゆる土地活用というと、一般的には借家事業のことを指し、借家事業は土地活用の典型的なビジネスモデルになります。
借家事業では、建物所有者様(貸主)と入居者様(借主)が建物の賃貸借契約を締結することで、賃貸経営を行います。
建物の賃貸借契約で得られる賃料は「家賃」と呼ばれますが、土地だけを貸す「地代」や駐車場等の「使用料」と比較すると、家賃は高額であることが特徴です。そのため、土地活用のビジネスモデルの中では、借家事業が最も儲かります。
一方で、土地活用で借家事業を行うには建物を建築する必要があり、高額な建築費用を調達するため、金融機関からの融資を利用することが一般的です。
そのため、借家事業では借入金の返済リスクも生じます。
その他、借家事業では空室リスクや賃料下落リスクも警戒する必要があり、将来的には大規模修繕の支出も発生します。
借家事業は、土地活用の中で最も収益性が高いと言えますが、同時にリスクを回避するための事前調査や計画的な賃貸経営が求められるビジネスモデルとも言えます。
代表的な借家事業としては、アパート経営が挙げられます。
[ ビジネスモデル ❷ ]借地事業
借地(しゃくち)事業とは、建物の所有を目的とした人に対して土地を貸し、地代収入を得るビジネスモデルです。
借地事業では、土地所有者様(地主)と借地人(借主)が土地の賃貸借契約を締結します。
土地の賃貸借契約で得られる賃料は「地代」と呼ばれ、地代は家賃よりも低く、駐車場等の使用料よりは高いことが一般的な価格水準です。
借地事業では、建物は借地人が建てますので、土地所有者様による建物の建築は不要となります。借地に建物を建てる場合、建物の建築主と所有者は借地人となり、土地と建物の所有者が別々になるということです。
土地所有者様には大きな投資が必要ないことから、借入金も発生せず、借入金返済リスクも生じません。
また、将来発生する大規模修繕は、建物所有者である借地人が負担することになり、土地所有者様は建物の老朽化を心配する必要がない点も特徴です。ただし、借地事業では、借地借家法によって借地人の土地を借りる権利が強く守られています。
そのため、借地契約は簡単には解約できず、土地所有者様は家賃よりも低い地代収入のまま、長期間拘束されてしまう点がデメリットです。
借地事業は借家事業よりも安全ではありますが、低い収益性が長期間続くというビジネスモデルとなります。
また、土地と建物の権利者が別々で、かつ借主の権利が強いことから、深刻なトラブルが発生する可能性もあることに注意が必要です。

旧借地法による普通借地権で土地を貸したことで、土地を取り戻すことができなくなってしまったケース。

借主の夜逃げなどにより、残された建物が廃墟化したケース。
[ ビジネスモデル ❸ ]暫定利用
暫定利用とは、建物所有以外の目的の人に対して土地を貸し、賃料を得るビジネスモデルです。
ポイントは「建物所有以外の目的の人」に貸すという部分であり、コインパーキングや月極駐車場、野立て看板用地、資材置き場等が暫定利用に該当します。
建物所有以外の目的の人に土地を貸すと、借地借家法は適用されず、借主の土地を借りる権利は弱くなるという点が特徴です。
そのため、土地所有者様は比較的簡単に契約を解約することができます。
暫定利用では、土地所有者様と借主が「土地一時使用賃貸借契約」を締結します。土地一時使用賃貸借契約で得られる賃料は「使用料」と呼ばれますが、家賃や地代よりも低くなることが一般的です。
暫定利用は土地所有者様に大きな投資が発生しないことが特徴で、例えば、コインパーキングでもアスファルト舗装だけを行えば、コインパーキング運営事業者に貸すことができます(アスファルト舗装せずに貸せるケースもあります)。
暫定利用は、土地所有者様から簡単に契約を解約することができることから、良い土地活用が見つかるまでの時間稼ぎに最適なビジネスモデルです。
より良い土地活用が見つかるまで暫定的に行う活用方法であることから、暫定利用と呼ばれます。
余った土地をとりあえず月極駐車場にしておく、というのが典型的なケースです。

土地活用ビジネスのメリット

世の中にはたくさんのビジネスモデルがありますが、個人の知識やノウハウを活用する一般的なビジネスとは異なり、土地を働かせる土地活用ビジネスには、特有のメリットがあります。
ここでは、土地活用ビジネスのメリットについて解説します。
収益が安定している
土地活用ビジネスは収益が安定している点がメリットです。
ほとんどのビジネスは、突然顧客を失ったり、ブームが去ったり、技術が発達して不要になったり、法律が変わって営業が難しくなったり等の変化にさらされます。
一般的なビジネスには流行り廃りがあり、長期間安定して収益を得ることは難しいため、常に成長やビジネス環境に合わせた変化が求められます。
また、創業時は収入が不安定なことも多く、最初のうちは利益の確保よりも広告宣伝費等の投資を行うといった経営努力も必要となります。
一方で、土地活用による賃貸経営は、最初から収益がほぼ一定です。
空室や賃料下落が発生して若干収入が目減りすることはありますが、それでも他のビジネスのように変化の荒波にさらされることはありません。
土地活用は、来月も来年も10年後も収益の見通しを立てやすく、長期にわたって固定収入を期待できるビジネスです。
資格や免許・高度なノウハウは必要としない
土地活用による賃貸経営を行うには、特に資格や免許は不要です。また、事前に特殊な能力やキャリア等の高度なノウハウを身に付けなくても、賃貸経営は可能です。
基本的には管理会社にすべての業務を任せることができますので、知識がない人でもすぐに始めることができます。
仕入れや人件費がかからない
土地活用ビジネスは、仕入れや人件費がかからない点もメリットです。
物販業のように在庫を抱えて売れ残るリスクもありません。
一般的なビジネスのように支払いが先に来ることはなく、資金繰りに困るということもありません。
逆に賃料は前払い(当月分を前月末に払う)が一般的であるため、先に入金してもらえるという恵まれたビジネスと言えます。
また、特に人を雇う必要もないため、人件費も不要です。
採用やスタッフのローテーション、社会保険料の支払い等、人に関連することで悩まされないビジネスでもあります。
土地活用ビジネスのデメリット

土地活用ビジネスには、デメリットもあります。
土地活用をご検討される場合、良いことだけではなく、悪いことも知っておく必要がありますので、ひとつひとつ解説します。
成否が立地に大きく左右される
土地活用ビジネスは、成否が立地に大きく左右される点がデメリットとなります。
立地の良い土地であれば成功しやすいですが、立地が悪い土地では誰がやっても難しいのが実情です。
土地活用ビジネスは典型的な立地産業であり、立地の良い土地でないと上手くいかないビジネスであると言えます。
借家事業は投資額が大きく借入金返済リスクもある
土地活用ビジネスのうち、建物の建築を伴う借家事業は、利益は大きいものの投資額が大きく借入金返済リスクもある点がデメリットです。
立地条件の悪い場所で行うと空室が発生し、家賃収入が入ってこないため、借入金の返済に窮する事態が生じてしまいます。
リスクを抑えるには、良い立地で土地活用を行うか、または自己資金を十分に用意して借入金を少なくして行うかといった対応が必要です。
売上が急激に伸びるようなことはない
土地活用ビジネスには、売上が急激に伸びることはないというデメリットもあります。
収益が安定し過ぎており、売上が急激に下がることはない反面、急成長が望めるようなビジネスではありません。
満室以上に稼ぐことはできず、投資額の割には儲からないという見方もできます。
また、投資資金の回収に一定の期間が求められるため、基本的に新築当初は土地・建物の評価に対して借入金額が上回り、会計上の財務内容は悪化します。
そのため、立て続けに融資を受けることは難しく、短期間で規模を拡大することが難しいビジネスとなっています。
代表的な土地活用ビジネス10選

土地活用ビジネスについて、3つの分類や、メリット・デメリットについての解説を致しましたので、次は、代表的な土地活用ビジネスについて、10種類を具体的にご紹介します。
【1】 アパート経営
アパート経営は、比較的広い範囲で賃貸需要が存在し、投資額も他の土地活用と比べると大きくはないことから、取り組みやすい身近な土地活用です。貸オフィスや貸店舗に比べると賃料が安定しており、空室が生じても次の入居者様が見つかりやすいという特徴があります。
アパートは50~60坪程度の土地から建てられるため、例えば相続した親の家(土地)を活用するときの選択肢にもなります。

【2】 賃貸マンション経営
中高層の建物を建築でき、相場家賃の高い立地であれば、賃貸マンション経営を行うことができます。
中高層の賃貸マンションを建てるには、土地の規制のひとつである容積率(敷地面積に対する延床面積の割合のこと)が高い数値で指定されている必要があり、建てられる地域が限られます。
アパートに比べると建築費が高額になり、家賃収入や修繕費などの支出といった収支のスケールも大きくなります。そのため、賃貸マンション経営は、アパート経営よりも大規模な賃貸住宅経営と言えます。

【3】 貸店舗経営
貸店舗経営とは、コンビニや飲食店、ドラッグストア、ホームセンター等の事業者に建物を貸す土地活用です。
貸店舗は、賃貸住宅や貸オフィスに比べると賃料単価が高いため、最も儲かる部類の土地活用となります。
ただし、貸店舗による土地活用は、収益性は高い反面、撤退リスクも高いと言えます。
借主に営業上の落ち度がなくても、周辺に競合店が出店する等の環境変化によって撤退してしまうこともあります。
また、貸店舗は借主となる事業者側のニーズに合った土地でないと出店が見込めないため、土地オーナー様側が希望しても必ずしもできるとは限らない点も特徴です。

【4】 オフィスビル
土地活用には、事務所を貸すオフィスビルもあります。
オフィスビルは従来からある土地活用ですが、昨今はオフィスの賃貸需要が全体的に弱くなっており、かなり立地が良くないとできない土地活用となっています。リモートワークが普及したことで賃貸需要はさらに弱くなってきたため、オフィスビル経営を行うにはニーズを十分に見極めてから行うことが適切です。
【5】 一棟貸しビジネスホテル
ビジネスホテルの事業者に建物を一棟貸しする土地活用もあります。
土地が商業地にあり、面積は相応にあるものの、オフィスの賃貸需要は弱いといった立地に適した土地活用です。昨今は、地方都市におけるオフィスの賃貸需要は弱まっていますので、古いオフィスビルを建て替える場合はビジネスホテルが有力な選択肢となります。
コロナ以前は地方都市のビジネスホテル需要が高かったため、インバウンド需要が復活すれば、再びビジネスホテル需要は高まると思われます。
ビジネスホテルは賃料も安定しており、一棟貸しであることから、建物所有者様にはほとんど手間がかからない点がメリットです。
【6】 サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)
サ高住とは、サービス付き高齢者向け住宅の略称のことで、介護事業者へ建物を一棟貸しする土地活用ビジネスです。
定義上は、「安否確認や生活相談のサービスを付けた高齢者向け住宅」になります。
しかし実際には、ほぼ老人ホームに近い建物を建てることが多い傾向があります。
建築時に助成金を利用できる可能性があるものの、収益性はアパート経営よりも低くなることが多いと言えます。
退去リスクは比較的低く、収益は安定しており、駅から離れた場所でもできる点がメリットとなります。

【7】 保育園
保育園事業者に建物を一棟貸しする土地活用ビジネスもあります。
退去リスクが低く、収益は安定しています。
都市部では賃貸住宅よりも収益性が低いですが、郊外になると賃料が逆転することもあり、こうした地域の場合、アパート経営よりも保育園を選択した方が収益性が高くなるケースもあります。
【8】 事業用定期借地権
借地事業の中で地主様に比較的高く支持されているものとして、「事業用定期借地権」があります。
事業用定期借地権とは、店舗やホテル、オフィス、工場等の事業の用に供した建物(住宅以外)の建築を目的とした定期借地権のことです。
定期借地権とは更新のない借地権のことであり、契約期間満了時に土地を確実に取り戻すことができます。
事業用定期借地権は地代が相応に高く、借地の中でも契約期間が比較的短い部類です。
収入が高く、拘束される期間も短いことから、土地オーナー様にはメリットの多い借地事業となります。ただし、貸店舗と同様に、借主のニーズに合った土地でなければ見込めないため、土地オーナー様側の希望で任意に実現できる土地活用ではありません。
【9】 トランクルーム
トランクルームとは、複数の収納スペースが設けられた建物を建てて貸し出す土地活用です。
建物を建てて貸すという意味では借家事業ですが、借地借家法の適用を受けない賃貸借契約形態であり、借家事業と暫定利用の中間のような土地活用となっています。
借主からは家賃ではなく使用料を受領します。
収益性はアパート等の借家事業よりも低いですが、投資額は比較的抑えられ、かつ、立地がそれほど良くないところでもできる土地活用です。
【10】 コインパーキング
コインパーキングとは、コインパーキング運営事業者に土地を貸す暫定利用の土地活用です。
暫定利用の中では、一般的に最も収益性が高いため、あまりお金をかけずにとりあえず収入を得たいという人にはおすすめの土地活用となります。
コインパーキング経営は1台からでも可能であり、狭い土地でも可能な土地活用でもあります。
また、「土地貸し」という方式を選べば、アスファルト舗装も必要なく、初期費用ゼロ円で始めることもできます。
まとめ 土地活用ビジネスをご検討の方は、
東建コーポレーションまでご相談ください

以上が、土地活用ビジネスについて解説となります。
土地活用のビジネスモデルは、「借家事業」、「借地事業」、「暫定利用」の3種類に分類することができ、「収益が安定している」ことや、「仕入れや人件費がかからない」といった点がメリットです。
一方で、「成否が立地に大きく左右される」ことや、「借家事業の場合は投資金額が大きくなることで、借入金返済リスクが生じる」といった点がデメリットとなります。
総評するなら、土地活用ビジネスは大きく稼ぐビジネスというより、長期に安定経営をすることに向いたビジネスと言えます。
代表的な土地活用ビジネスには、「アパート経営」や「賃貸マンション経営」、「貸店舗経営」等があることをご紹介しましたが、土地活用のビジネスを成功させるには、プロの力を借りることが近道です。
東建コーポレーションは、土地活用の専門企業として、豊富なノウハウと実績をもとに、たくさんの土地活用計画を手掛けて参りました。
土地活用をご検討の方は、ぜひお気軽にご相談下さい。

